レストアプロジェクト「ReNS」について

YAMAHA NS-1000Mとの出会い

1974年から1997年まで販売されていたモニタースピーカー「YAMAHA NS-1000M」。
往年の名機として多くの音楽ファンに親しまれてきたNS-1000Mは、生産終了から長年経た今もなお、確固たる人気を誇ります。

「オーディオラボ鶴岡」の代表である私・太田 望も、幼少期からNS-1000Mとの思い出を紡いできた一人。


太田幼少期

小学生時代の写真を見返せばNS-1000Mの傍で遊んでいたり、昭和の頃に父から「スピーカーといったらYAMAHA」と諭された記憶があったり…。

のちにスピーカーの販売・修理に携わるようになってからは、NS-1000Mならではのホッとするような音色や個性に魅了されています。 

過去の修理実績

私がNS-1000Mの販売・修理を手がけるようになったのは、かつてオーディオ専門の老舗として知られていた「有限会社小川電器商会」へ入社した2005年以降。

それから現在に至るまであらゆるメーカーのスピーカーを修理してきましたが、なかでもNS-1000Mのフルレストア実績は全国屈指であると自負しています。 


小川電器商会時代のスピーカー修理風景


オーディオラボ鶴岡店舗外観

2019年には小川電器商会のオーディオ製品販売事業を譲渡される形で新会社「オーディオラボ鶴岡」を創業し、より一層、オーディオ文化の継承・発展に貢献したいと考えるようになりました。

これまでの修理経験を生かしたNS-1000Mのレストアプロジェクト「ReNS 1000M」も立ち上げ、NS-1000Mの素晴らしさを多くの方と分かち合えればと願っています。

レストアの基本コンセプト


図:バスレフ型と密閉型の違い

現在の一般的なスピーカーの構造は、低音域を増強させる「バスレフ型」。

これに対してNS-1000Mの構造は「密閉型」のため、軽快かつ歯切れの良い音を楽しめるのが特長です。

NS-1000Mはアンプや音楽ジャンルを選ばず、どのような環境・システム構成であってもNS-1000Mらしさを発揮するので、その点においても素晴らしいモニタースピーカーだと感じています。

私たちのレストアプロジェクト「ReNS-1000M」では、NS-1000Mならではの魅力を大切に守りながら、部品交換・補修・クリーニング等によって鮮度の高い音へアップデート。

ユーザーの思い出やオーディオの原体験まで呼び起こすような、かけがえのないレストアスピーカーをお届けできれば幸いです。


レストア完成品1号機

よくある修理ポイント


レストアの流れとして、まずは部品を外し、さらに各ユニットを分解します。


サビなどの酸化物や古くなった不要なハンダを除去し、細かい接点までクリーニング。


故障部品や耐使用年数を超えた部品は交換するほか、エンクロージャー(キャビネット)の補修なども行います。


オーディオは各機械を経由するたびに、音源の情報量が削ぎ落とされていきます。その原因の一つが、部品をつないでいるハンダ。古くなると音の損失が大きくなりますが、新しく交換することによって音質が格段に良くなります。


またNS-1000Mが生産されていた当時に比べて、今のハンダや線材は品質が向上。
NS-1000Mの特長である軽快感は残しつつ、クリアに進化した音をぜひ体感していただければと思います。

オリジナルパーツによる強化


アッテネーターのストックの一部

往時のNS-1000Mは量産機であったため、どうしても品質的に妥協せざるを得なかった部分も見受けられます。

たとえば、音量調整に関わる装置・アッテネーター。ここは音声信号の通り道ですが、酸化皮膜が張りやすい構造になっており、音の損失にも影響を及ぼします。

このような弱点を補うべく、より接地抵抗の少ないデバイスやハイエンドパーツなどを取り付けるカスタマイズにも対応しています。

部品販売や下取りについて

お客様のご要望やご予算に応じて、オリジナルパーツを使用したレストアや部品単売も行っています。また、NS-1000Mの下取りや買取も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。


NS-1000Mのストックの一部